テープ起こし・翻訳専門タイナーズのノート

質的研究素材の一部としての事前アンケート

time 2025/04/20

以下で事前アンケートと半構造化インタビューのことについて触れています。

アンケートを元にインタビュー調査を行うと・・・
https://www.tapeokoshi.net/1913/

 
半構造化インタビューの本来の価値は、あらかじめ設定した大枠のテーマに沿いながらも、対話の中で生まれる予期せぬ発見を掘り下げていく柔軟性にあります。事前アンケートの存在は、この柔軟性や探索性を制限してしまう可能性が高いと言えます。

この問題を克服するためには、インタビュアーのスキルアップが必要ですが、上記指摘しているように「それがなかなか難しい」というのが現実かと思います。

 
この場合の事前アンケートは、あくまで質的研究素材の一部

事前アンケートは量的研究の手法を用いられますが、半構造化インタビューの文脈では、それは純粋な量的研究素材というよりも、質的研究プロセスの一部として機能しています。そこに微妙な矛盾が生じるわけですね。

量的研究の手法(アンケート)を質的研究(インタビュー)の前段階として使うことで、本来の質的アプローチの強み—予測不可能な発見や対話の中で生まれる洞察—が損なわれてしまう可能性があります。
質的研究の本質は、数値化・標準化できない複雑な人間の経験や意味づけを理解することにあります。事前アンケートによって、その探索的なプロセスが枠にはめられてしまうと、質的研究本来の価値が十分に発揮されない結果になりがちですね。

定性調査の質を高めるためには、事前アンケートと半構造化インタビューは別々の調査手法として、それぞれの手法の特性を活かした使い分けが望ましいでしょう。

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